お墓のあれこれ
「強引なセールスに要注意」
「お墓なんて、どこで買ってもそう違いはないんじゃないの?」
そんなふうに考えているとしたら、私たちは少し心配してしまいます。お墓のことを決める際には、やはりあらかじめ、ある程度の知識を身につけておくほうが安心です。
では実際に、ご家族で話し合われて「お墓を建てる」となった場合、あなたならどうされますか。 お墓を建てるには石材店で墓石を買わなければなりませんが、実際のところ、あなたは自分で石材店を調べて一人でお店に向かいますか。
だれにでも簡単に相談できるものではありませんから、どんなお店に注文すればいいのか。どんなお墓にすればいいのか。どんな順序で何から手をつければいいのか。一人で考えていると混乱して、よけいにわからなくなってしまうかもしれませんね。
業界としてとても恥ずかしいことですが、中には「家族の死」という悲しみにつけ込んで粗悪な石材を高級品として売る、いわゆる「儲け主義」の業者も存在しないわけではありません。
日本石材産業協会が平成19年に消費者センターに対して行った「墓地、墓石・石材に関するクレームアンケート」には、次のようなクレームが挙げられています。「見積書を依頼しただけで、契約していないのに経費を要求された」(60代男性)「訪問販売業者と墓石工事を契約したが、工事が始まらず業者と連絡が取れなくなった」(70代男性)「夫が亡くなりお墓を購入した。墓石の契約もしたが、彫刻文字などの詳細は決めていなかったのに勝手に彫られてしまった」(40代女性)「寺の紹介で業者と契約したが、墓の寸法や色が依頼した内容と違う。図面や見積書を請求したが出してくれず、口約束だけで工事を始めた」(60代女性)「法要に間に合うように契約して依頼したのに着工しない。代金は半額支払い済みなのに追加代金を請求されて困っている」(50代女性)
これらは、数多く寄せられたクレームのほんの一例です。
「お墓のことは何も知らないから」
「考えたくないことだから全部まかせてしまおう」
そう思って安易に信用し契約してしまったために、後でさまざまなトラブルに巻き込まれています。
ちなみに、このアンケートで「墓石・石材に対するクレーム」のうち最も多いのは次の3つでした。
1.加工・施工不良(22.8%)
【石表面に錆が浮き出る】【基礎コン厚が足りない】【塔婆立てに心棒がない】
2.解約・返金問題(15.7%)
3.材質・デザイン・サイズなどが違う(10.2%)
また、「墓地・霊園に対するクレーム」のうち最も多いのは次の3つでした。
1.解約・返金問題
2.費用トラブル(墓地の管理費用、永代使用料など)
3.強引な勧誘に対する苦情
このように、お墓や石材店のことを事前にまったく知らなかったために、後で嫌な思いをしてしまうこともあるのです。
こうしたトラブルの背景には石材業界の事情も関係しています。
石材店の現状は年々、とても厳しくなっています。
店舗を構えた昔ながらの石材店同士はもちろん、新規参入業者との競争も激しくなっています。
たとえば、仏具店や葬儀社などお墓を購入できる選択肢が増え、一般の方にとって手に入りやすいものになっている反面、業者は厳しい状況に追い込まれているのです。
その結果、誠に残念ながら、あまり良心的とはいえないサービスで強引に契約を迫るような業者も増えています。
墓石を販売するのに特別な許可や免許は必要ありません。やろうと思えばだれでも「にわか墓石業者」になれます。
そうした業者は、販売が終われば事務所を閉鎖、売りっぱなしで連絡がとれなくなることもめずらしくありません。